案内係やーぼのブログ

コンサートホールで案内係をしている著者が、出演者・聴衆・スタッフの思いが響き合い乱反射する、劇場の魅力を語ります。

【ブダペストオペレッタ劇場 】で忘れられないミュージカルに出会う

【ハンガリー滞在記2019】#20

2019年4月20日 後編1

■「ブダペストオペレッタ劇場 (Budapesti Operett színház)」

午後15時から、ミュージカルを観に「ブダペストオペレッタ劇場 (Budapesti Operett színház)」

劇場の外観はピンクと白のクラシカルな造形。


この劇場も装飾が美しい。入場すると、館内はクリーム色の壁と白い天井に金色の装飾が施されています。

アールヌーボー様式なのだそう。階段は、大理石でできている様子。



こんなお城のお姫様が住んでいる部屋のような劇場があることに驚きを隠せません。

日本にもサントリーホールをはじめとした、キラキラとした豪華な劇場はありますが、ヨーロッパの歴史ある劇場と比べるとシンプルで、これほどまでの装飾はありませんので。

そして、ついに場内へ!!

ハンガリーの劇場を見ては驚きを繰り返しておりましたので、なんとなく想像が…

つきませんでした。

なんだこれは!!!(こればっかり)

■貴族の社交の場へようこそ。

場内は、プロセニアム形式(客席と舞台を分ける縁取りがあり、緞帳を下すことができる、オペラやバレエなどの公演に適した劇場)で、客席は馬蹄形。客席は、3階席まであります。

流れるような金の装飾を施した、白い壁。ワインレッドの客席のシート。舞台の前にはオーケストラピットがあります。

白×金×ワインレッドの豪華な色合いと、流れるような繊細なデザインの調和された美しさにキョロキョロ、キョロキョロしてしまいます。




■「レベッカ Rebecca」

ブダペストオペレッタ劇場 (Budapesti Operett színház)では、「レベッカ Rebecca」を鑑賞しました。

『レベッカ』(Rebecca)は、イギリスの女性作家ダフニ・デュ・モーリエの『レベッカ』を原作とした、ウィーン発のミュージカル・サスペンス。

広大な屋敷や土地、“マンダレイ”を所有する上流紳士で、先妻レベッカの事故死の影を引きずる「マキシム」。

アメリカ人富豪の世話係の仕事をする「わたし」。マキシムは、忘れていた心の安らぎを与えてくれた「わたし」を見初め、二人は結婚します。

しかし、そんな「わたし」をマンダレイの屋敷で待ち受けていたのは、亡きレベッカにまつわる奇妙な出来事の数々。そして、前妻レベッカの事件の真相を知った「わたし」は・・・。



■魅惑のキャストたち

この公演は、ハンガリー語での上演で、舞台の上の部分に英語の字幕が付いていました。

実は私、レベッカ Rebeccaの曲は、いくつか知っていたのですが、それがこのミュージカルの曲だということは知らずにいました。

この劇場を訪れたのも、レベッカを鑑賞するためというよりは、劇場そのものに興味があったから。(本当にぼーとしてますね。)

レベッカは冒頭で、「わたし」(ヒロイン)が歌うところから始まるのですが、一番初めの部分から、言葉も物語のあらすじも何も分からないのに、引き込まれてしまいました。

可憐で優しいヒロインのけなげな部分や困難なことに立ち向かっていこうとする、強さの表現がどちらもとてもよく感じられて、なんて素敵な役者さんだろうと思いました。

他にもホッパー夫人やダンヴァース夫人、亡霊たちなども印象に残りました。

ホッパー夫人が出てくるたびに観客から笑いが起こり、明るい雰囲気になる分、暗い部分がより一層引き立ったように思いますし、ダンヴァース夫人の歌声や表情は、その後何度も思い出しました。


本当は、もう一度見たかったのですが、大変人気のある公演で、連日完売。私は、偶然当日券を買ったのですが、もう少し遅かったら購入できなかったかもしれません。なので、この日観ることができたのは幸運でした!



■廊下も豪華

この劇場は、廊下やロビーの装飾も見どころです。

天井を見上げると、白い天井に金の流れるような幾何学的な装飾。全体的に白いのですが、金色で縁取られ、等間隔に空を思わせるくすんだ青い色に塗られているところがあります。



館内や場内のいたるところに、お洒落で小ぶりの照明が光っています。このような空間が、実際に今も使われ、そこに私もいる不思議。

こんな風に、後世に残していきたいと思わせる建物にあとどれだけ出会えるのだろう。

日本のコンサートホールで働いていると、素晴らしい建物であってもEVやエスカレーターがないということを理由に、そのことにすごく意見を言う人が一定数います。

私自身も年を取って動けなくなったら、すごく不便に感じるでしょう。そうしたら、同じように文句を言うのかもしれません。ですが、便利にすることと引き換えに、価値ある建物が次々と消えていくことについてはどう考えているのだろう?と思うのです。

ハンガリーの劇場はもっと古いので、バリアフリーにすることはさらに難しいはず。利便性と文化的価値について、人々がどう折り合いをつけているのか気になります。

知っている方がいましたら、教えてください。


バーコーナーの充実した飲み物と食べ物。
ハンガリーでは、プリッツェルが定番のようで、いろいろな劇場で見かけました。このプリッツェルは、かなり大きいので、食べるのに休憩時間だけで間に合うのか?



いろいろなことを考えさせてくれる劇場。そして、とにかく、ミュージカルがとても印象的で。もう一度見たかったなー。実は、この時、物語の内容がよく分かていませんでした。しかし、この時見た情景は今でもよく思い出します。

■次回

この日は、さらにもう一つミュージカルを見に行きます。

次回、モダンな劇場、セントラル劇場 Centrál Színházで、最新のクロークシステムを目撃する。

 

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