【ハンガリー滞在記2019】#13
2019年4月16日後編
この日の夕方は、ジャズを聴きにウラニア国立映画劇場(Uránia Nemzeti Filmszínház)へ。
こちらがウラニア国立映画劇場(Uránia Nemzeti Filmszínház)。正面に赤い四角の中に白い文字で19と書かれた「ブダペスト・スプリング・フェスティバル(Budapesti Tavaszi Fesztivál 2019年4月5日~4月22日)」のバナーがかかっている。
私がこちらの劇場を訪れたのは、「映画劇場」という名前が不思議だなと思ったから。
映画劇場って、映画館とは違うの?
映画の上映もコンサートの上演もできるということは、日本で言うところの多目的ホールみたいになっているのかな?
(※多目的ホールとは、東京文化会館やBunkamuraオーチャードホールのように緞帳があり、オーケストラのコンサートだけではなく、バレエやオペラ、講演会などさまざまな用途で使うことを念頭に置いて作られたホールのことを言います。)
映画劇場という名前なので、キャパシティーは、小ホール(~500席)くらいかなとか、映画ということは近代的な感じなのかなとか、今まで、数々のホールで案内業務を行ってきた劇場案内係やーぼは推測。
しかし、それは日本の感覚に過ぎなかった…。
玄関を入るとそこには、黄金に輝く空間が広がっていました。
エントランスをまっすぐ進むと場内へ、左右には上のレストランなどに上がる階段がありました。
すみずみにまで施された美しい装飾。機能だけでなく、そのあり方にもこだわって作られていることが伝わってきます。
ハンガリーは、今までの記事でも挙げたように、劇場だけでなく温泉のエントランスも歴史ある芸術的で素晴らしい造りの建物がたくさんあります。
しかし、ウラニア国立映画劇場(Uránia Nemzeti Filmszínház)は、今まで訪れたどの劇場とも違う、特徴がありました。
場内に続く廊下を歩いていくと…。
(人が映り込んでいるためぼかしています。)
ここは、どこ!?初めて目にするデザインに言葉を失います。
ヨーロピアン?アラビアン?とにかく、青と金色の見事なコラボレーション!!
しかし、この空間について説明せよと言われても私のボキャブラリーでは、かなり難しい。
客席内はどうなっているのか、想像もつきません。映画劇場なので、黒と赤の落ち着いた感じの客席かな。壁の色は、黒。座席のシートの色は赤。映画だし。
そんなことを思いつつ、いざ客席へ!!
・・・。
映画とは?
というか劇場とは?
ここはどこ??
客席に入ると、そこには黄金の空間が広がっていました。
目線を少し上にあげると、天井まで、金の装飾です。
黄金に輝く天井には、まばゆいばかりのシャンデリアが!!
シャンデリアは、私の勤務しているホールにもありますし、ヨーロッパのお城やホールでも見慣れているはずなのに、ウラニア国立映画劇場のシャンデリアはひときわ存在感がありました。
美しい・・・。
美しすぎる。
とても光り輝いているのに、奇抜とか派手とか、そういう言葉よりも、上品という言葉が合うのはなぜだろう?
いろいろすごすぎて、どこから突っ込んだらよいのか分かりません。
天井は、ドームになっていて、幾何学的なデザイン。
映画劇場ということで、クラシック専用のコンサートホールと違い、ステージには客席と舞台を分けるプロセニアムがあり、緞帳を下せる作り。
天井がドームになっていて、2階客席のせり出したバルコニーが円形になっていて、馬蹄形のように見える。
1階席の壁の色は、茶色とオレンジを混ぜたような色。客席のシートの色も壁になじむシックな色合い。
細部まで施された装飾のすべてを受け取ることができないのが残念。誰か、解説をしてください。
そして、もう一つ驚いたのが、
鏡!
客席を囲むように1階席にも2階部分にも、壁に大きな鏡がはめ込まれています。
劇場について、ホームページ
Történet | Uránia Nemzeti Filmszínház
を読んでみると。
建てられたのは、1890 年代半ば。
設計は、Schmahl Henrik。彼は、ヴェネツィアのゴシック様式とイタリア・ルネッサンスの形式的要素とアラブ・ムーア建築の装飾的要素をうまく組み合わせて設計したとのこと。
アラブの様式を取り入れたんですね。なるほど。
私は、勝手に劇場=ヨーロッパというイメージがあり、劇場にアラブの様式を取り入れるという概念がなかったので、この時強くインパクトを受けました。
どこかのテーマパークに行けば、この劇場の雰囲気に似た空間はあると思う。しかし、本物の放つ魅力は格別です。この建物を私たちの世代まで、残してくださりありがとうございます。
ロビーの一角にはこんな空間も。
いいよねー。いいよねー。こういう空間、好きです。
異国のなじみのないデザインなのに、美しいと感じるのはなぜだろう?
また行きたい。
ちなみに、この滞在期間中には行けなかったのですが、ブタペストには、もう一つプーシキンアートシネマという豪華な映画館があるよう。チャンスがあったら、そちらにもぜひ行ってみたい。
■次回、ここは船か?劇場か?民謡のコンサートに行ったつもりが、突然のロック!?クラシック専門の案内係やーぼが、未知の世界に足を踏み入れる。