案内係やーぼのブログ

コンサートホールで案内係をしている著者が、出演者・聴衆・スタッフの思いが響き合い乱反射する、劇場の魅力を語ります。

廃墟か?劇場か?ハンガリー【エッフェルワークショップハウス バンフィーホール】

【ハンガリー滞在記2019】#10

2019年4月14日

■次の日

結局鍵の仕組みが分からないまま、なんとなくで玄関の鍵を開けるようになった私。

4・6トラムが走る通りを散歩。

ふと立ち寄ったショッピングセンターで、日本料理屋を発見。「HANAMI SUSHI BAR」


看板にあった「Spire」を注文。



かっぱ巻き、サーモン、カニカマの三種類。質素なメニューだ。カウンターの隣にセルフサービスで味噌汁もある。味噌汁には具が入っていない(後日訪れたら、入っていた)。かっぱ巻きと味噌汁がおいしかった。ご飯もちょうどよい硬さ。

 

■エッフェルワークショップハウス バンフィーホール(Eiffel Műhelyház – Bánffy terem)

この時期ブダペストでは、ブダペスト・スプリング・フェスティバル(Budapesti Tavaszi Fesztivál 2019年4月5日~4月22日)が開催。

日本でも仕事柄、津々浦々のホールを訪れている私は、ハンガリー滞在中にさまざまな劇場を訪れました。

後日、このフェスティバルの公演がまとめて掲載されているリーフレットを発見するのですが、この頃は、そのような情報もなく、うまく探せていませんでした。

しかし、せっかくハンガリーに来たのだから、毎日コンサートを聞きに行きたい。

そこで、この日選んだのが、エッフェルワークショップハウス バンフィーホール(Eiffel Műhelyház – Bánffy terem)。

理由は、演目が、モーツァルト作曲:オペラ・ブッファ「カイロのガチョウ(L’oca del Cairo, ossia Lo sposo deluso)」K.422だったからです。「カイロのガチョウ」は、未完に終ったコミック・オペラ。

日本で上演されているのを見たことはありませんし、この公演に出会うまで、オペラの存在すら知りませんでした。これは、ぜひ見たい。


■廃墟か?劇場か?

ということで、この日の夜は、エッフェルワークショップハウス バンフィーホール(Eiffel Műhelyház – Bánffy terem)へ「カイロのガチョウ(L’oca del Cairo, ossia Lo sposo deluso)」を観に行く。

アパートのすぐ近くからトラムが出ていたので、それに乗り約15分。中心部から離れるからか、街の様子もさびれた様子に…。先ほどまでのルンルンとした気持ちはどこへやら、だんだんと心細くなっていきます。

こんなところにオペラを上演する劇場などあるのか不安に思いながら、バス停に降ります。しかし、


ここは、どこ…?


劇場は…?


劇場の固定観念にとらわれた私には、古びた町の様子と廃墟の駅舎のようなものしか見えません。


現在は、工事が終わり劇場の外見になっていますが、この時はまだ工事中で、廃墟のように見えていたのです。

(帰りに撮った写真なので、暗いです。)

これがエッフェルワークショップハウス。営業しているのかも怪しいと思いつつ中へ。
すると、



スタイリッシュでモダンな、芸術空間が広がっていました。


後から調べてみると、エッフェルワークショップハウス バンフィーホール(Eiffel Műhelyház – Bánffy terem)は、1884年から86年にかけて建設されたハンガリーの鉄道史上最大の駅を改修工事したものだそう。


もっと詳しく知りたのですが、ハンガリー語の資料以外見つけられず。知っている方、または、資料を読解できる方、ぜひ教えてください。

2019年は、まだ正式なオープンではなく、試験的にオペラを上演していたようです。


■チケットを購入しようとしたら、完売。

実は、私、当日券を会場で購入しようと思っていたのですが、


チケットはすでに完売。

インターネットでは完売だったのですが、会場に行けばチケットが集約されているので、何とか購入できるのではないかと思っていたので、しょんぼり。


新しくできる、歴史ある駅を利用した注目の劇場でのオペラ公演で、人気だなんてこの時の私は何も知らず…。


そして、そうこうしているうちに
公演が始まってしまいました。


鍵は開かなくなるし、心細い思いをしながら訪れた劇場では、チケットが完売。


はあ。。。


しかし、席が一席もないのですから、仕方ありません。


帰るか。。。
鍵の開け方の分からないアパートへ。


帰ろうとすると、先ほどの受付の人に呼び止められ、何かを渡されました。それは、チケットでした。

えっ!?

驚いて料金を払おうとすると「いらない」というのです。

たぶん、招待券として出していたのに、来なかった人がいて、その分をくれたのかもしれないと考察。

とにかく、何はともあれ、やーぼはチケットを手に入れた。前半は、もう入れないので、後半から鑑賞する許しを得ました。やったー。


後半からでしたが、オペラは、素晴らしかったです。

工事中のため客席も簡易的で、建物全体がほこりっぽかったです。しかし、忘れられない劇場になりました。完成したらまた訪れたい。



■次回、ゲッレールト温泉へ。

つづく