■案内係は、なんでも知っているわけではない。
みなさまこんにちは。本日は、クラシックのコンサートに多い、ある人々についての思うことを語ります。
その人々とは、案内係に対して知識でマウントを取ってくる人々です。
案内係の仕事をしているのですから、私たちには、その会場について説明したり、案内したりする知識が求められますし、その日の公演の演目や出演者や背景などについてもある程度知っている必要があります。
ホールの係員もクラシックのホールには、クラシック音楽を専門に勉強した人が多いですし、演劇のホールなら演劇を学んでいる人が多かったり、ミュージカルの公演が多いホールでは、ミュージカルが好きな人が比較的多くいます。
ですが、だからと言ってすべての人が全ての知識を網羅しているわけではありません。
私は、クラシック音楽を専門に学んできたため、クラシック専門のホールを担当することやクラシックの公演を担当することが多くあります。しかし、一口にクラシック音楽と言っても幅広く、自分の専門である声楽や合唱については、ほかの人よりも多く知っているかもしれませんが、そのほかの楽器の曲は、知らないことが多々あります。
さまざまなバックグラウンドを持つ人が集まる強みはそこにあって、今日はピアノの公演だから、ピアノ科を卒業した○○さんに聞いてみよう。今日は、サックスの公演だから○○さんが強いな。と自分の専門ではないところを係員同士で補い合っています。
■係員の仕事は、解説員ではない。
これは、クラシックの公演に多いのですが、わざわざ係員を捕まえて、質問攻めにした挙句「ホールで働いていて、そんなことも知らないのか」と言ってくる、来場者です。
来場者からしたら、その時の演奏や演目に興味があって、そこをめがけてホールを訪れているので、その分野において詳しいのはうなずけます。
しかし、ホールではさまざまな公演が行われます。係員は、自分の専門であろうとなかろうと勤務したその日の公演を運営しなければなりません。当然、専門外のこともあります。また、有名な曲であっても、その曲が何分の曲で、どういう編成で、歌詞の意味はどうで、どのタイミングなら案内できるのか、まで詳細に分かるとも限りません。
時には、「あの案内係はこんなことも分からないんだ」と言いふらす人もいます。「えー!!ホールで働いていてそんなことも分からないの!?」と大げさに驚いて見せる人もいます。
これは、私の個人的な感想ですが、そういう人は愛好家に多い印象があります。音楽大学で教鞭をとっている人やプロの音楽家がそういうことを言っている場面はあまり想像できません。(実は言っているのかもしれませんけれども、みなさんはどう思いますか?)
そもそも案内係の仕事は、ある曲や音楽家についてもの知識を提供することではなく、コンサートをスケジュールに沿って安全に運営することにあります。
自分の専門知識をコンサートの穏便な運営にどう生かしていくのかということが最も大切で、知識を提供するのは、本来の仕事ではないからです。どんなに、曲に詳しくてもそれを運営に行かせなければ、案内係としては、難しいかな。
■来場者の知識が著しく間違っていた場合
それから、たまにあるのですが、マウントを取ってきた相手の知識が著しく間違っていることです。こういう場合、専門的な知識があるがゆえに始めは何を言われているのか分からず言葉に詰まることがあります。
それを見た来場者が、それ見たことかと高圧的な態度で迫ってくることがあるのです。そういう場合は、場合にもよりますが、その人の勘違いを正すようなことはしません。「私の教養が低いもので」と言ってごまかします。
なぜなら、高圧的な態度を取っている時点で、その人にとって真実がどうかは関係なく、「あなたが知らないことを自分は知っているんだ」という気持ちを満たしたいのだと思うのです。
案内係の仕事は、コンサートが楽しかった、このホールに来れて良かったと思って満足して帰っていただくことです。なので、マウントを取られようと、その人が案内係に対してマウントを取ったことで満足して帰れるなら、それこそが全てであり、そこに水を差すようなことはしません。
いかがでしょうか。ここに書いたことは、あくまで、私の意見であり。私の見解です。みなさんの意見も伺いたいです。