案内係やーぼのブログ

コンサートホールで案内係をしている著者が、出演者・聴衆・スタッフの思いが響き合い乱反射する、劇場の魅力を語ります。

2024年仕事を離れて思うこと~私にとってコンサートホールで働く意味~

■2023年の出来事

みなさま、新しい年が明けましたね。

昨年は、私にとって大きな決断をした年でした。ハンガリーに留学したこと、そして、それに伴って仕事を離れたこと。

私にとって、コンサートに関わる仕事は、収入を得ること以上に価値のあることで、この仕事を離れたら生きていられないと強く思うほど、好きな仕事でした。

ですが、だからと言って楽しかったかと言われると、純粋な楽しさは3%ほどで、あとはとてもつらかったです。あまりの辛さに体調不良や精神的に不安定になったこともありました。

なのに、この仕事から離れたくない。何か大きな意義を感じていたのです。留学して、このポジションを離れたら、もう二度と同じポジションには戻ってこられないのではないか。そんな、気持ちもあり、いろいろなことになかなか踏み出せませんでした。

ですが、昨年のニューイヤーコンサートを最後に、突然9年間続けてきた仕事を回してもらえなくなってしまいました。(私は、コンサートに関わる複数の仕事をしていてその中の一つのお話です。)

私は、実績も残してきたはずですし、ほかのポジションの方やエージェントから高い評価を頂いていたはずでした。にも関わらず、、、雇われるってこういうことだなと思いました。この後思いがけず、エージェントの会社の人に頼まれて、別のポジションで同じ公演に関わることができ、大きな経験になりました。

でも、もう吹っ切れて、留学へと歩みを進めることができました。

■私にとってコンサートを支える仕事とは?

私にとって劇場とは、自分の仕事と役割を通じて生み出される芸術と感動の場であり、一方で自分の居場所や存在価値について葛藤を抱える場所でもありました。

そんな私でしたが、さまざまな公演に関わる中で、公演とは、個々の仕事が一体となって提供される芸術の場であり、自分の存在や役割を通して、そこで働く人や聴衆、アーティストに大切なメッセージを届けている場所だと認識するようになります。そして、多くのスタッフやアーティストとの関わりを通じて、自分自身の意義やコンサートの本質にも気づきました。

「お互いが大切にされる環境を築いていきたい。」という自分の願いに気づいた場所でもあります。

■やっぱり劇場に引かれる

ハンガリーに来てから、こちらの劇場で働いている友人に何度か劇場の中を見学させていただいたり、スタッフが働く様子をまじかで見たりすることができました。

正直大変な仕事だと思います。私とは、担っている役割が違うので、分からないこともたくさんありますが、やはり彼らの活躍なしには公演は成り立たず、彼らの仕事は素晴らしい。そして、公演そのものよりもその前後や裏側のスタッフの作業にとてもワクワクします。

素晴らしい公演の影には、必ず優秀なスタッフがいます。その存在を多くの人に知ってほしい、そして、私も知りたい。そんなことを思いながら、お正月を過ごしています。


■日本を遠く離れて思うこと

日本では、大きな災害が起きていて、自分はそこにいない。そして、東日本大震災の時もそうでしたが、自分が日本にいたからといって何かできるわけでもないし、そういう時、演奏会の存在ってとても難しいなと感じます。

暗いニュースが飛び交っているときこそ、楽しいことに触れて、バランスを取る必要があると思います。しかし、苦しんでいる人がいるのに不謹慎だという気持ちも分かります。

音楽や芸術の緊急性は薄いかもしれない。ライフラインに比べたらそうだ。それは分かる。でも、負のエネルギーだけと向き合って生きることは難しい、私たちにはバランスが必要なのだ。その楽しい部分を担うコンサートの仕事は、ライフラインと同じくらい重要だと思っています。

今の私にできることは、2011.03.11の時と同じ学ぶこと。今学んだことを通じて、みなさまの力になれたらと思っています。


 

ya-bo.hateblo.jp

 

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