案内係やーぼのブログ

コンサートホールで案内係をしている著者が、出演者・聴衆・スタッフの思いが響き合い乱反射する、劇場の魅力を語ります。

「生誕100年 朝倉摂展」スライドトーク 企画秘話と芸術家の足跡

朝倉摂展のスライドトークに参加してきました!


今年3度目となる「生誕100年 朝倉摂展」への訪問。今回は、担当学芸員によるスライドトークに参加しました。

美術館で、学芸員による展示の解説があることは知っていたのですが、実際に参加するのは今回が初めてです。

偶然見つけてオンラインで申し込み、無事当選。いざ、練馬区立美術館へ!


今回、実際に2つの美術館の同じ企画展を見に行って、同じ企画でもどの美術館で行うのかや学芸員によって、際立たせるところに違いがあって面白いなと感じたのですが、スライドトークでは、今回の朝倉摂展の企画の秘話が聞けて、より視点が広がりました。

コンサートや公演もそうですが、出来上がったものはさることながら、そこまでのプロセスはもっと興味深かったりします。

プロセスを知るとそこまでのドラマも共有したような気持ちになるからでしょうか、単なるお客さんの視点からもっと広がるように思うのですが、みなさんはどうですか?


■興味深かったのは、朝倉摂についてのエピソード。

朝倉姉妹は、父親の教育方針で、学校には通わず家庭教師から教師を受けていたのですが、学力がともなっているか、学校と同じように試験もあり、試験前になるとカンニングペーパーを仕込もうとしていたとか。

日本を代表する彫刻家、佐藤忠良とはとても仲がよく、朝倉摂の方からよく電話をかけていたとか。

労働や貧困などの社会問題を題材とした作品をあるときからやめて、舞台芸術のほうに方向を変えていくのですが、その理由のひとつとして、貧困を題材に扱っていても、結局は著名な父親を持つ裕福な家庭で育った摂に対する冷たい評価があったことも影響しているのではないかというお話も興味深かったです。

 



私には著名な芸術家は特別な人で、自分とは全く違う人だという思いがあります。確かにかなり特殊な環境で育っているなと思う人は多くいます。ですが、自分と通ずるものもあって、素晴らしい作品をただありがたがって鑑賞するだけではない、作者の人間味も感じられる企画の面白さを感じました。

■私がコンサートの案内係の裏側について発信しているのも、裏側を知ることで舞台上だけではない劇場のうまみを味わうことができるのではないかと思うから。

実は、公演中の舞台の上以外にも知ると面白いうまみがあるのだ。

こういう企画をほかにも探して参加してみたい。


■「生誕100年 朝倉摂展 担当学芸員によるスライドトーク

■日時:2022年8月12日(金) A・B各回20分程度

■講師:真子みほ(練馬区立美術館 学芸員

■会場:練馬区立美術館1階視聴覚室

■参加費:無料 ※要 鑑賞券(当日以外の半券可)

■座席:全席自由席

 

 

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