本日は「コンサートの鑑賞を妨げる音」についてお話します。
クラシックのコンサートの最大の特徴は、楽器の音や歌声など
「生の音」をマイクやスピーカーを使わないで届けることです。
(ギターやチェンバロなど音の小さな楽器は、マイクを使うこともあります。しかし、あくまでも生の音に聞こえるように調整されています。)
コンサートホールにいらっしゃるお客様は、コンサートホールという良質な響きを生み出す空間で、配信では決して再現することのできない、一期一会の
「生の音」「生の音楽」を楽しむためにいらっしゃいます。
こうした特徴からクラシックコンサートでは、「音」に対してとてもシビアです。生の音は繊細なため、少しの物音でも演奏の音をかき消してしまうからです。
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「音(雑音)」の問題は、お客様同士のトラブルにも発展する要因になります。
「音」に対する感覚は人によって違い、すごく気になる方もいらっしゃれば、そこまで気にならない方もいらっしゃいます。
しかし、クラシックコンサートにいらっしゃる方の多くは、音に対して敏感な方々です。
■本日は、実際にどのような「音(雑音)」があるのか、
演奏中によくある具体例を8つお伝えします。
・「いびき・寝息」・・・これは、自分で気づくことが難しいため、長い時間にわたって続くことがあります。ほかの物音と違い本人が寝ているため、係員が演奏中にお声がけするのは極めて困難です。
・「パンフレットやプログラムをめくる音」・・・これもトラブルに発展することのある「音」です。 プログラムには、曲目解説や演奏者のプロフィール、歌詞などが載っていて、読みがごたえのあるものも多くあります。それを演奏中に目を通しながら聴くことは否定できません。
しかし、その音を煩わしく感じる人は多く、大きなトラブルに発展した経験があります。
・「あめの袋を開ける音」・・・咳が止まらなくなった時など、ゴホゴホし続けるより、あめをなめて落ち着ける方もいらっしゃいます。
ですが、問題はあめの包みです。ビニールの包装は、開けようとするとかなり響きます。なるべく響かないようにと思って、ゆっくり開ければそれだけ長い時間響き続けてしまいます。
・「鈴の音」・・・お財布やカバンに鈴をつけている方はいらっしゃいませんか?これは、ご年配の方に多いように思います。コンサートホールは、小さな音でも響くように作られています。なので、演奏中に誤って鈴に触れてしまうと響いてしまうのです。
・「ビニール袋」・・・ビニール袋に入った花束や商品をホールに持ち込むのはリスクがあります。ビニールは、少し触れただけで、音がしてしまうからです。
ホールの外や中で、ビニール袋に入ったチラシなどを配る際は、音がほとんどしない素材を採用しています。それ以外は、クロークや受付で預かってもらうと安全です。
(現在は、コロナ禍でクロークが封鎖されている場合が多いので対応はホールによって異なります。)
・「オペラグラスを開け閉めする音」・・・折りたためるタイプのオペグラスは、出演者をよく見るのに便利なアイテムです。
問題は、オペラグラスを開け閉めするときの音です。カチャカチャとかなりの音がするものもあります。コンサートには、演奏そのものを楽しみたいという方もいらっしゃれば、演奏者の姿や顔が見たいという方もいらっしゃいます。
どちらの楽しみ方も歓迎ですが、クラシックのコンサートは繊細な生の音を楽しむ場であり、それ以外の音を気にする方が多くいらっしゃるです。
・「バックを開ける音」・・・マジックテープやファスナーを開ける音もかなり響きます。演奏中カバンを開けて、しばらくガサガサしているといつ音が止むのかハラハラします。
・「落下音」・・・例えば、「傘」。傘の持ち込みがOKなホールでは、立てかけておいた傘が倒れて音がすることを防ぐために、係員が「手元に手繰り寄せるか、足元に寝かせてください」などのお声がけをする場合があります。
コンサートは静かに聞いてほしい、係員の切なる願いです。