本日は「コロナ禍で変わったコンサート」のことと「係員の意外な役割」
についてお話します。
これからあげる例は、あくまで私の経験した公演の、主にクラシックコンサートが中心なので、ご承知おきください。
コロナ禍で変わったこと
■開場前~開場まで
多くの公演で密にならない配席にするため「指定席」の公演が増える
検温、手指消毒、マスクの着用を確認、来場者情報の記入などを行い
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チケットを係員が「目視」
↓
お客様自身がチケットの半券をもって、
回収箱に入れる
↓
プログラムやチラシをお客様自身で机から取る
↓
客席へ
(詳しくは、こちらの記事をご覧ください。↓)
クロークの封鎖
■公演中と休憩
常時マスクの着用
会話は控えて
ロビーやホワイエでの飲食禁止
あるいは黙食
ソーシャルディスタンスを保って行動
ブラボーなどの声援の禁止
バーコーナーは休業、水&お茶のみやアルコール提供なし
■終演時
「分散退場」「規制退場」で、係員やアナウンスに従い、座席ごとに退場。
出演者への花束やプレゼントの預かりはなし
出演者への面会の基本禁止
などです。
入場口にたどりついても、そこから検温や消毒などさまざまな行程が待っているうえ、
チケットの切り離しやプログラムの受け取りも自分でやらなければならないため、
入場するまでに一苦労。
クロークが封鎖されているため、置き場に困りつつも冬場のコートや大きな手荷物を持ったまま客席へ。
コンサートの前や休憩中に優雅な時間を提供してくれる、「バーコーナー」も
営業を休止していたり、水とお茶のみの営業のホールも多いため、楽しみが一つ消え、
自粛で会えずにいた友達にようやく会えて、ロビーで楽しくお話をしていると、
「会話はお控えください」と係員から注意を受け、
息苦しくてマスクを外していると、係員に目を付けられ、
素晴らしい演奏で「ブラボー!」と言いたくても言えず、
知り合いの出演者にお花やプレゼントを渡したくても、花束受付などはなく、
ホールの裏と表の行き来が禁止されているため面会もできず、
せっかく持ってきたプレゼントは持ち帰ることに…。
そんなコロナ禍のコンサートですが、
非日常の空間で配信では決して再現することのできない、生の芸術を求めて
多くの方がご来場されています。
■係員の仕事
係員は、公演が予定通り滞りなく安全に進むように
感染対策も含め、さまざまな業務にあたっています。
その中で、もっとも重要で難しいのは、来場される客様の
お一人お一人異なる価値観に寄り添うことだと感じています。
感染防止のために行っている
来場者のマスク着用の徹底、入り口での検温や手指消毒のお願い、
施設や備品の消毒作業などのさまざまな対策も、専門家ではない私達には
正直どれほど効果があるのか分かりません。
それでもガイドラインに従って、
できる限り安心して公演を楽しんでいただけるように努力しています。
これらの対策について、人の数だけ考え方があり、来場される方々の中には
不十分だと感じる方もいれば、やりすぎだと感じる方もいらっしゃいます。
コンサートホールは、素晴らしい芸術を楽しみたいという
同じ目的を持った方々が集まる場所ですが、
同時に多くの違う価値観を持った方々が集まる場所でもあるのです。
そんな価値観と価値観の間を取り持って、今できる最善の対応をするのが
コンサートホールの係員の役割の一つだと私は思っています。
係員の存在を感じるときって、だいたい対応が悪くて文句のある時で、
良い対応の時には気に留めないことが多いかもしれません、
ですが、上記のような思いをもってみなさまをお迎えしているということを
時々思い出してくだされば幸いです。