本日は、「チケットもぎり」という業務についてお話します。
チケットの半券を切り離す行為を業界用語で「もぎる」といいます。
(「半券」につきましては、前回の記事をご覧ください。↓)
以前は係員がチケットをもぎって(切り離して)いましたが、
現在はコロナ禍ということもあり、接触を避けるため
お客様自身にチケットをもぎっていただく形式を採用している会場がほとんどです。
しかし、今回はコロナ禍以前の「係員がチケットをもぎって(切り離して)いた」時のことを例に、「もぎり業務」についてお話します。
「チケットをもぎる」という言葉は、
「チケットの半券を切り離す行為」を指しますが、「チケットもぎり」を行う係員は、
チケットの切り離しだけを行っているのではありません。
むしろチケットの切り離しは、業務のほんの一部分に過ぎず、もぎり業務の中心は
チケットの情報を読み取って、
「この公演のお客様だけを開演時間までに入場させること」だと考えています。
基本的にチケットをもぎる係は、限られた開場時間のなかで、
・お客様から渡されたチケットの情報を瞬時に読み取り
・きれいに早く半券を切り離し
・「本券」をお客様に返しつつ、座席への導線を簡単にアナウンス
という一連の流れで、次々に来場されるお客様がなるべく早く、
スムーズに入場できるよう業務にあたります。
しかし、イレギュラーなこともたくさん起きます。
その一つが 「チケットの間違い」です。
正しいチケットをお持ちの方のみをお通しするために、一枚一枚確認するのですが、
多くの場合チケットは複数の会社で発行され、情報の記載デザインは多種多様なため、
見分けるのは簡単ではありません。
チケットによって、
券面の色、情報が書かれている位置、文字の大きさ、字体などがばらばらで、
「違う公演」であっても、同じ会社が発行しているチケットだと、
同じ形状、同じ色、同じ字体なので、同じ公演に見えたり、
「日付」や「時間」だけが違うという些細な違いにも
気づけなければいけないため、とても緊張します。
それに付け加え、お客様からの質問(終演時間やお手洗いの位置)に答えたり、
ホール内に持ち込むことのできないものをお持ちだった場合は、そのことを説明したり、チケットをもぎること以外の対応も極力流れを止めずに行わなければなりません。
満席に近い公演では、ひっきりなしにお客様がいらっしゃいますので、
流れを止めずに対応しなければエントランスが混雑したり、開演に間に合わなくなってしまうからです。
来場者の状況に応じて、開演時間を遅らせることもありますが、
クラシックのコンサートの場合、時間にして5分くらいで、
それ以上遅らせることもなくはないですが稀です。
そして、クラシックのコンサートでは、演奏が始まってしまうと基本的に曲中には客席に入ることができないため、開演間際にいらしたお客様の案内は、係員の実力を問われます。
チケットをもぎることは誰でもできそうな気がしますが、複数のことを同時にこなす技術と正確さが求められる緊張感のあるポジションなのです。
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