案内係やーぼのブログ

コンサートホールで案内係をしている著者が、出演者・聴衆・スタッフの思いが響き合い乱反射する、劇場の魅力を語ります。

【湘南台文化センター市民シアター】こんな劇場見たことない!?円形舞台の魅力と工夫が光る市民シアター 前編

湘南台文化センター市民シアター バックステージツアー&夏の午後のミニコンサート♪ に行ってきました。


■厳選なる抽選

この度は「湘南台文化センター市民シアター
バックステージツアー&夏の午後のミニコンサート♪」に
お申込みいただきまして、ありがとうございました。

応募者多数の為厳選なる抽選の結果
ご参加いただける事が決定致しました
当日、会場受付にて参加費(1,000円)を参加人数分
お支払いください。


という熱いメールを受け取り、いざ「湘南台文化センター市民シアター」へ!

湘南台駅


シアターの最寄り駅「湘南台駅」の地下広場に着くとこんな素敵なパブリックアートがありました!

調べてみると、この空間はアートを活用した地域交流スペース「湘南台駅地下アートスクエア」として2022年4月26日に誕生し、幅25mのこの壁画はそのシンボル。湘南台在住の画家・廣田雷風さんが「郷土に捧げる讃歌」をテーマに描いたもの。

 


多くの人が利用する湘南台駅に、「人々の心の拠り所となるような、わくわくする空間・心豊かになる空間を創り出したい」と始まった湘南台アートスクエアプロジェクト。そのプロジェクトにぴったりな、繊細で優しくてエネルギーを感じる壁画だと思いました。

この広場のために寄贈されたグランドピアノもあるということですので、今後は駅で演奏を聴ける機会が増えそうです。いいなー。

■駅から藤沢のプロジェクトにほっこりしたところで、シアターに向かいます。

!?

なにやら向こうに銀色の光るオブジェがあるなーと思っていたら、どうやらこの建物が湘南台文化センターのよう。青い空とマッチしてひときわ輝いて見えます。

湘南台文化センターは、複合施設でいろいろな施設の入り口があるので、どこが市民シアターなのか迷い、危うくプラネタリウムに入りそうになりました。

■こんな劇場観たことない、円形の市民シアターへ潜入。


このシアターは、
・1990年7月に竣工
・座席数 600席
・演劇用(クラシック専用のホールと異なり、セリフなどが聞き取りやすいように響きが押さえられている)の劇場です。


また、
・建物が球体で
・客席は、扇型(舞台を要として客席が扇を広げたような形になっている)
・舞台の中心に半円の舞台がせり出し
・舞台には中央から割れるタイプの黒い緞帳がかかっています。
・場内は、黒でおおわれ、機材や柱などはむき出し
ところが特徴的だなと思いました。

(サイトより引用)
客席図を見るとこんな感じ。

(バックステージツアー冊子より引用)

そして、最も大きな特徴は、中央の直径10.6mの円形舞台を残して周りの床が跳ね上がることでしょう。↑

す、すごい…。

劇場内が全て黒で覆われた直方体の劇場は、ブラックボックス型と呼ばれよく目にします。

しかし、この劇場のように舞台が半円になっていて、天井が高く、舞台だけが木の色をしているのは珍しい。

私が、普段クラシック音楽のコンサートに関わることが多いので、演劇などが主な劇場に慣れていないということもあると思います。しかし、今までさまざまなコンサートホールや劇場を訪れてきましたが、このような劇場は初めて見ました。


■ツアーの内容はこちら↓


この冊子は、市民シアターの説明だけでなく、舞台の基礎知識や照明についても詳しく書かれており、とても勉強になります。作成した方、ありがとうございます!

■受付をした後は、客席に集合します。まず、諸注意や劇場について簡単に説明を受けます。そして、場内を暗転させて見せてくれたのは、劇場の天井です。


なのというか、メカニックな感じです。球体の建物なので、天井も丸い。そして、さまざまな機構がむき出しになっています。

■次に舞台の上へ

市民シアターには、2つのセリがあります。
・舞台前の半円にせり出した「オケ迫り(前迫り)」
・舞台側の「大迫り」

この二つの「迫り」の特徴は、多くの劇場は長方形なのに対し、「半円形」をしていることです。


前迫りの昇降を見学した後、我々も迫りに乗り込みます。大迫りの乗るとこんな感じ。↓

 


奈落へと引き込まれていきます。


■バックステージへ

A・Bの2グループに分かれて見学します。
機材の置かれた場所。


 ところ狭しとさまざまな道具が並んでいます。

 

この劇場のバックステージツアーは、あちらこちらにラミネートされた、場所や道具の名前、使い方など説明の紙が張り付けてあり、分かりやすかったです。この工夫もこの劇場で初めて見ました。豆知識が書かれているものもあり、分かりやすい。これを集めた冊子も欲しい!!

 


フォトスポット↑

■楽屋





建物が円形なので、楽屋も円形になっています。


よく見ると入り口側は広く、部屋の奥に行くにしたがって狭くなっていることがお分かりいただけますでしょうか。

■リハーサル室


このお部屋は、リハーサル室。リハーサル室には、舞台で使われるさまざまな照明機材が置いてあり、紹介していただきました。展示が工夫されていて、照明の知識がなくても視覚的に楽しめます。


照明のレンズに自由に触ったり持ってみることができます。レンズに触ったのは初めてです。意外と重い。照明のレンズにもいろいろな種類があるなんて知りませんでした。


照明の中に絵や模様が書かれたネタを入れると、ねこがたロボットと思われる模様が映し出されます。
バックステージツアー用に作られたネタは、スタッフの熱い思いと個性が表れて面白いので、いくつか集まったら、まとめてブログで公開したいです。

ほかにも、


なんだこれは!?後光のような光を放つ照明など、さまざまな照明を実際につけて見せてくれました。


詳細については、入り口で配られた冊子にも詳しく載っています。



■調整室

スタジオとロビーを通って、調整室に向かいます。




この螺旋階段を上ると


調整室がありました。


ここから眺めると、


劇場全体が見渡せます。
手前には、照明のブリッジが降りています。



窓にカーテンがかかっているように見えますが、緞帳です。

■舞台の後ろの通路へ

舞台の後ろの通路には、円形の建物ゆえに場所の確保が難しいそうで、さまざまな機材が所狭しと並んでいます。そこに「綱元」と呼ばる、幕などを操作する場所もありました。

 


狭いので、一列になって進みます。(ほかの参加者が写っているので、ぼかしと文字を駆使して隠しています。見えずらいですが、こんな雰囲気です。)



こんなところにピアノ庫が!!
三角形の部屋にグランドピアノが、ちょうどよく収まっています。

■カーテンコール体験


最後は、全員舞台の上に乗ってカーテンコールの体験を行います。カーテン(緞帳)が開いて、閉まります。

ほかの劇場のバックステージツアーでも、役者の気分が味わえるような演出はいつくかあって、迫りを使って奈落から舞台上に登場したり、拍手で舞台に上がったり、照明をカラフルに当ててくれたり。ですが、緞帳の開閉を伴うカーテンコール体験は、今回が初めてでした。

私は、役者の気持ちが味わいたいという気持ちは薄いのですが、カーテン(緞帳)が開いたり閉まったりすると、なんだか新鮮だなと思いました。拍手の演出はあまり好きではないのですが、今回は違和感がなかったです。慣れてきたのかな。

私は、多くの場合クラシックのコンサートに出演することが多かったので、舞台でカーテン(緞帳)が閉まって、客席と舞台が分かれるという体験は貴重で楽しい体験でした。

今回は、拍手の録音を流していましたが、カーテンが閉まる前に録音が終わって、しーん。あ、拍手終わった…。まだ、閉まりきってないのに…。

そんなこともありつつ、バックステージ見学も終わり、次は、ミニコンサートのための舞台仕込み見学とミニコンサートです。

この舞台仕込み見学は、市民シアターのコンパクトさを逆手に取って魅力を凝縮した、大変勉強になるとともに見ごたえのあるものでした!

■後編 ミニコンサートへ続く