防災を「知る」から「体験する」へ ― 本所防災館ツアーレポート
こんにちは。劇場案内係のやーぼです。
私は東京を中心に、ホールや劇場で公演当日の案内・接遇業務を行っています。
今回は少し現場を離れて、防災について実践的に学べる「本所防災館」の体験ツアーに参加してきました!
防災に関する資格をいくつか取得してきた私ですが、実技や実体験の機会は少なく、以前からとても興味のあった施設です。
リアルな内容でしたので、体験の様子をレポートします。

今回参加したコース:自助・共助コース(1時間45分)
暴風体験など自然災害を体験できるコースもあるのですが、私は消火器訓練をしたかったので、こちらのコースを選択しました。
- 開催場所:東京消防庁 本所防災館(墨田区)
- 予約:当日受付も可能ですが、人気のため事前予約が安心です(私は予約済みで参加)。
- 持ち物:荷物は無料ロッカーへ。私は水筒ホルダーに入れた水筒とハンカチのみを持って体験へ。
体験内容
1.防災シアター
まずは20分ほどのアニメーション映像を視聴。
3人の小学生が、放課後不思議な犬に導かれて、関東大震災・阪神淡路大震災・東日本大震災を時空を超えて体験する内容でした。
小さなお子さんも多数参加していたため、小さい子向けの内容になっていたという印象です。
次にグループに分かれて、いよいよ体験パートへ。
1グループ10名ほどで、会社の研修や団体、一般参加、小さいお子さんとの親子参加などに分かれます。
私は一般参加&海外の方も混ざったグループで、12名でした。
2.地震体験
6名ずつ体験します。この体験は靴を脱ぐので、靴下はマスト。忘れた場合は売店で150円で購入します。
地震体験では、過去の代表的な地震の揺れが再現されており、1グループにつき3つの地震を体験します。
私たちは、関東大震災・2004年の新潟県中越地震・長周期振動の3つでした。
起震車のような机などはなく、マットのみ。地震が起きるとその上で伏せてしのぎます。
地震に合わせた大スクリーンの映像や緊急アラームの音、そして何より揺れの再現性がすごい。
これを作った人の話を聞きたい、と思いました。
3.煙体験
体験者用のソファの前の壁には、火災についての大きなパネルが6枚ほど貼られています。
「煙は天井から段々と下がってくるので、身を低くして、壁に手をつけて進み、口をハンカチやマスク、袖で覆う」などの説明を受けます。
その後、動画を視聴。
目の前のパネルが横にスライドして収納され、ベッドが置かれた小さな隠し部屋が出現。そして正面のカーテンが横に開くと、そこには窓ではなく白い壁があり、映像が映し出されます。
防災館の設計者のこだわりを感じました。
この部屋が本当に必要かと言われると分かりませんが、一種のアトラクションですね。これくらいの驚きがなければ楽しく学べません。お子様から大人まで楽しめる工夫が詰まっていました。
動画では、模型の1階から煙を流すと階段などの竪穴区画を上がっていき、上階のほうが煙が充満しやすくなる様子を再現。火元よりも上階で亡くなるケースが多い理由がよく分かりました。
教科書で学んでもなかなか想像できませんが、実際に見るととても分かりやすいです。
映像を見終わると、いよいよ煙体験へ。6人ずつ体験しました。
順路は3つに分かれており、段階的に明かりが暗くなり、最後の通路は真っ暗。
わざと迷うように左右に分かれており、避難誘導灯がある方向へ進むと出口に出られるようになっていました。
避難時の「身体の使い方」や「心理的混乱」を体感できます。
4.消火器体験
まずは映像とインストラクターによる説明を受けます。消火器の持ち方や姿勢など。
体験では、水道水の入った訓練用消火器を使用。スクリーンに映し出された火災の映像に向かって、実際に放射します。
火災を発見したら、「火事だー!」と叫びます。音量はゲージに表示されます。
その後、姿勢を低くして、ピンを抜き、ホースを外し、レバーを握る――という流れで行います。
これは4~5名ずつで体験しました。
体験後はソファに戻って振り返り。
音量はどうだったか?姿勢はどうだったか?いつの間にか撮られていた写真を見ながら、検証を行いました。
5.応急手当体験
最後は応急手当体験です。AEDの使い方や胸骨圧迫などを、訓練用の人形を使って体験します。
こちらはやや簡易的で、救命講習のダイジェスト版といった印象でした。
(私は普及員講習まで受けているので、もう少し丁寧に体験させてほしいと思いましたが、導入としては良い内容でした)
体験を終えて思ったこと
このツアーの一番の利点は、実際の装置を使って災害や火災を体験できることだと思いました。
勉強や講義はどこでもできますが、身をもって体験することはなかなかできません。
再現性の高い設備を使って、無料で体験できるのは本当にありがたいです。
また、海外の方が参加されていたのも印象的でした。
日本に住んでいると地震や火災は当たり前のように感じますが、他国ではまったく想定外なことも多い。まさに「災害大国・日本」ならではの体験だと思います。
インストラクターは簡単な指示を片言の英語を話していましたが、その他の説明はほぼ日本語。しかも専門用語も多いため、理解するのはかなり難しそうでした。
動画には英語字幕が付いていたり、パネルにも英語が少しだけ書かれていましたが、それだけですべてを理解するのは至難の業。
参加者は携帯の音声翻訳機を使っていましたが、インストラクターの冗談交じりの話は、正確に翻訳されていない様子でした。
それでも体験型のアクティビティが中心なので、言葉が分からなくても、楽しんでいる様子でした。
最後に
劇場やホールは「特定防火対象物」に指定されているため、年に1度は消防訓練が義務づけられています。
ですが、現場での訓練は“エアー訓練”になりがちで、実践的な知識や技術を身につけるのが難しいのが現状です。
私たちは接遇のプロではありますが、防火・防災のプロではありません。
この半年、防火管理者・防災センター要員・応急救命普及員などの資格を取得してきましたが、「実際に体験できる場」は本当に貴重です。
そして、このような体験が無料でできるというのもありがたいことです。
特に、消火器の噴射や地震の揺れを身体で覚える経験は、座学だけでは得られない“備え”だと感じました。
防災は「体験する」ことから
防災の「体験」は、誰にとっても必要なものです。
特に、劇場で働く私たち案内係・接遇スタッフにとって、万が一の災害時に冷静に対応する力は、“目に見えないサービス”の一つだと思います。
今後も学びを続けて、現場でお客様を安全にご案内できるよう、備えていきたいと思います。