案内係やーぼのブログ

コンサートホールで案内係をしている著者が、出演者・聴衆・スタッフの思いが響き合う、劇場の魅力と影を語ります。

心の闇と仕事の関係について考えてみた

本日は、私のことについてお話しします。

暗い話なのでもし興味がありましたら、お読みください。

 

私は劇場やコンサートホールを訪れる方々に、帰るときには「楽しかった」と思っていただきたいと思っています。つまらなかったり、残念な気持ちで帰ってほしくないのです。

 

誰に頼まれたわけでもないのに、なぜそんなふうに思うのでしょう?

 

その思いの根底には、私自身の幼少期の体験があるかもしれません。

 

私の母は、暴力や人格否定の絶えない人でした。毎日母の顔色をうかがい、いつ怒るのか、なぜ怒っているのか分からないまま怯えて過ごしていました。私は、学校にも家にも、どこにも自分の居場所がありませんでした。

 

母は家族で出かけた旅行の時も、些細なことで不機嫌になり、旅先でもずっと母のご機嫌を取るしかありませんでした。せっかく楽しもうと、お金や時間をかけて出かけたのに、母の不機嫌に振り回されてばかりで、私は一体ここで何をしているのだろう?ただただ悲しい気持ちになりました。もう帰りたい。そんな思いしか残らない旅ばかりでした。それに、お店でも観光地でも母が騒ぎ立てるので、周りの人に申し訳ない気持ちもありました。

 

そんな経験からか、私は今でも「何かを楽しむ」ことがうまくできません。物事が順調に進めばそれでいい、楽しいとかときめく気持ちを持つよりも、どこか作業のようになってしまう。楽しめないことで自分の心を守ろうとしているのかもしれません。

 

だからこそ、公演を楽しみに訪れる方々を目にすると、心から「楽しんでほしい」と思います。ずっと笑顔でいてほしい。ここを選んでよかった、そして後から振り返ったときに「あの日、楽しかったな」と思い出す体験を残したい。私が訪れた場所が次々とトラウマになっていったのとは違って、誰かにとってはここが楽しい思い出の場所になるように。

 

自分自身は、芸術に心を震わせて夢中になるようなことは、他の人より薄いのかもしれません。楽しい、うれしいという気持ちがすぐに義務感とすり替わってしまう。しかし、だからこそ、誰かにそのかけがえのない体験を届けたいのだと思うのです。自分に足りなかった「ときめき」や「深い満足」を、訪れる人に分かち合ってほしい。楽しい気持ちや安心できる空間を提供したい。

その思いで、この仕事をしています。

 

劇場で悲しい気持ちになってほしくない。非日常を心ゆくまで楽しんでもらいたい。そして、この場所での体験がその人の人生を豊かにし、やがて社会全体が少しでも温かくなる。そんな風になってくれたらと思い、今日もここに立っています。

 

暗い話になってしまいましたが、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。