案内係やーぼのブログ

コンサートホールで案内係をしている著者が、出演者・聴衆・スタッフの思いが響き合う、劇場の魅力と影を語ります。

今年もやってきた!?客席が寒くて鑑賞に集中できない問題

 

夏ですね

春が過ぎて暖かくなり、というよりもむしろ暑くなってきましたね。寒暖差に翻弄されながらも季節は進み、いよいよ夏へ!


夏の風物詩「客席が寒すぎる問題」

さて、劇場では毎年恒例のある問題がすでに発生しています。それが、

 

「客席が寒すぎて鑑賞に集中できない」

 

私もすでに何件もそのご意見をいただいています。


劇場スタッフの思いと限界

劇場やコンサートホールでは、お客様に快適に過ごしていただくために様々な工夫をしています。それはもう、書ききれないほどです。私もお客様に心地よい時間をお過ごしいただけるよう、日々努めています。

しかし、どんなに頑張っても、どうにもならないこともあります。その一つが、建物の構造や設備に関することです。

「なんでエレベーターもエスカレーターもないんだ!」
「駅からの順路がわかりにくい!」
「お手洗いが少ない!」
「車椅子の動線がない!」
「舞台が見えにくい席がある!」

こうした声を耳にすると、胸が痛みます。できる限り工夫し、要望に寄り添うようにしていますが、構造そのものを変えることはできません。だからこそ、単に案内するだけでなく、建物をよく理解し、できる範囲でお客様の不便さを軽減する工夫をしているのです。


空調は簡単に操作できない

空調も同じです。簡単に操作できるものではありません。客席の構造や空調設備そのものの性能、舞台上の演出やアーティストにとっての快適な環境、楽器や演目への影響など、様々な事情を考慮して決められています。

劇場は、お客様の快適さをもちろん第一に考えています。しかし、同時に舞台上で行われている演目の質や進行の安全を守ることも、非常に大切です。そのため、やむを得ない場合も多いのです。


劇場は飛行機のようなもの

劇場は、飛行機の中のようなものです。外がどんなに暑くても、客席内は冷え込むことがよくあります。そして、その現象は夏ほど多く見られます。なぜなら、演技をしている役者さんが暑さに耐えられるようにするためでもあるからです。


スタッフにもできること・できないこと

空調を調整できる場合もありますが、私の経験上、それは稀です。ですので、観劇の際は羽織れるものやストールなどの寒さ対策をぜひお持ちください。どんな服装で行けば良いかと心配される方もいらっしゃいますが、夏の劇場で一番大事なのは「羽織れるものを持つこと」です。何も持たずに薄着で行くと、ほとんどの場合、後悔します。


空調は調整できるのか?

観劇やコンサートに慣れていない方ほど、羽織れるものは必須です。これは、慣れている方の間では常識です。中にはブランケットを貸してくれる劇場もありますが、数に限りがありますし、コロナ以降は貸し出しを廃止しているところも多くあります。

また、寒いと感じたらスタッフに声をかけていただくのも良いですが、スタッフがすぐに空調を操作できるわけではありません。多くの場合、舞台監督が温度調整の判断をしています。

仮に調整が必要となっても、500席を超えるようなホールでは、温度が変わるまでにはどうしても時間がかかります。ましてや1000席2000席になってくるとより難しくなります。そもそも、あの広大な空間を音もなく冷やしていること自体、すごいことなのです。

 

温度はすぐには変わらない…。

「寒いんですけど、何とかして」とだけ言って去っていく方もいらっしゃいますが、これではどうにもできません。
「何階何列のどのあたりに座っているのか」
「どんな感じに寒いのか」
など、詳しく教えていただけると、場合によっては調整できることもあります。

それに、温度調整の依頼があってもすぐには変わりません。スタッフはまず自分でその場所に行って体感し、他のお客様の様子も観察します。そしてチーフなど責任者に連絡し、舞台監督の判断を仰ぎます。ようやく調整が行われる…といった流れですので、数分以上はかかります。


快適に過ごすために

まとめると――
夏であっても、客席は寒いものだと考えて、羽織れるものを持っていくのが安心です。

私も劇場で働く時は、客席や冷房の風を直接受けるポジションでは、真夏でも冬用のインナーを着ているくらいです。みなさまも、観劇を快適に楽しむために、ぜひ寒さ対策をしてお越しください!