※この記事は、プライバシー保護のため、実際にあった内容や人物と変更している箇所がございます。ご了承ください。
これは以前、私がクラシックのコンサートで、案内係をしたときの出来事です。
その公演は、未就学児不可の公演でした。
しかし、事前にどうしても未就学児を連れて行きたいという来場者がおり、客席には入れないが保護者がついてロビーでの鑑賞なら、ということで主催者が特別に許可した方がいました。
お客様は、父親と小学生のお子さんと未就学のお子さん3人で、いらっしゃいました。
前半は、小学生のお子さんだけ客席で鑑賞し、父親と未就学のお子さんはロビーでモニター鑑賞していました。
しかし、後半、父親は2人のお子さんをロビーに残して、客席に入ってしまいました。
私達は、ロビーに子供達が残されているのを見て、お父さんだけ客席に入ったことに気づきました。
この公演は、アマチュアの団体の公演で、ご家族やお友達がたくさん来場されていました。そうすると当然未就学のお子さんのいらっしゃる家庭もあります。
私は、未就学のお子さんがいるから、趣味や演奏活動を諦めなければいけないなんて思っていません。
お子さんのいる家庭や親御さんも幅広く活動できるように、大好きな音楽を楽しめるような配慮はこれからもっともっと必要になります。だからこそ、新しいホールには、ガラスばりの親子室が設けられたり、託児サービスの充実もはかられています。
子供のために何かを犠牲にしたり、諦めたりしなければならない今の状況を変えていかなければいけないと思います。
ヨーロッパなどで、まだ小さい子供をもつ夫婦がコンサートに行けるのは、そのためのサービスが充実しているからだと思いますし、周りの理解もあります。
なので、この記事を書くことで、子育て家庭を批判していると勘違いしている人がいたらそれは違うと言いたいです。
話を戻すと、この公演は、後半が始まると基本的には客席内には入れない公演でした。
父親は、モニターではなく客席内で演奏を聴きたかったのだと思います。その気持ちは良くわかります。ましてや、知り合いが演奏していれば当然のことです。
私は、別の業務をしていたので、分からなかったのですが、チーフに子供たちだけがロビーに置き去りになっていることをフロアのリーダーが伝えたのですが、チーフは、「まあいいんじゃないの」と言って、対応をしませんでした。
理由は、父親が座っている席を把握しているため、何かあったら父親に言いに行けば良いからというものでした。
私はこの考えには異論があります。
私達はご案内係であり、来場者を案内し、公演が滞りなく進行するようにそれぞれ業務を行っています。時々、案内係はぼーとしているだけでしょ、という人がいますが、それは、間違いです。
ボランティアの手伝いと勘違いしているかもしれませんね。
つまり、お子さんたちをずっと見守っていられない場合があるということです。私たちには、安全配慮義務があります。
来場された方が安全に過ごせるように手立てをこうじる義務があります。当然ですね。しかし、それにも限界があります。
もし、遅れていらした方や急病人が現れたら、私達はその方々の対応をしなければいけません。そのほんの少し目を離した隙に、その子たちがいなくなって「あれ、どこに行ったのだろう?」と思いふと階段を見ると転落して倒れていた、ということがあったら、誰が責任を負うのでしょうか?
私は、「責任の所在」が決まっていないことは、良くないと思います。
みな自分には責任がないと思って対策も何も考えなくなるからです。
チーフは、もしそういうことが起きたら、それは保護者としての義務を放棄した父親に責任があるので、私達は責任を負わないと言いました。
果たして、現実はどうでしょうか?
私は、そのようなことにはならないと思います。きっと、そのフロアにいた案内係は、責任を追及されるでしょう。なぜ、目を離したのか、なぜ、父親にそのようなことをされては困ると言わなかったのか。なぜ、主催者を巻き込んで手を打たなかったのかと。
また「○○ホールで、未就学児が大けが」などというニュースが流れたら、世間の人は、このホールは危険だと思うでしょう。
今回は何も起きなかった。でも、もし、起きていたら…。そのような潜在的な危険をあらかじめ察知して行動しなければ、大切な来場者の命を守ることはできません。
私は、子供を連れてくるなとか、そういうことを言いたいのではありません。
みなが安全に過ごすためにどんなマインドが必要か、その対策もなしに案内係の善意に頼るのは危険だというのです。
なんでも、案内係に頼るのではなく、一人一人が自分事として捉えてチームとして行動しなければ、これからの劇場運営は厳しいでしょう。
みなさんはどう思いますか?