案内係やーぼのブログ

コンサートホールで案内係をしている著者が、出演者・聴衆・スタッフの思いが響き合う、劇場の魅力を語ります。

年齢を聞かれることの違和感、興味がないなら聞かないでくれ!


■年齢を聞かれまくって、うんざりしています


年齢を聞かれても平気で、何とも思わないという方は、スルーしてください。単なる愚痴ですので。


「何歳ですか?」と聞かれると、「この人もか」と思って心底うんざりした気持ちになります。

病院や市役所などでは必要だとして、個人がその人の年齢を聞かなければならない理由なんて、ほぼありません。(というか興味本位以外ないでしょ。)

 

年齢がステータスや価値観に強く影響する文化があり、「年齢=ライフステージ」という固定観念が根深い世の中で、

年齢を聞くということは、単に数字を知りたいのではなく、私の背景や人生について探ろうとしていると思うのです。

女性だから年齢を聞かれれてどうこう、という感覚よりも、年齢を知ることで「その人がどういう背景や状況にいるか」を推測しようとすることが根本にある。だから、年齢を聞かれると違和感がありますし、正直嫌です。

(女性の場合、結婚とか出産とか、特に出産というリミットがある分、年齢で判断される部分が大きいと思う。)

私たちは、年齢という一つの要素でその人を理解できるわけではありません。それでも年齢を知ることで、相手を何かしらのカテゴリーに入れて、自分なりにその人を定義しようとする。年齢を聞いてくる人がいると、この人もそのタイプかー、と思ってしまいます。

年齢に限らず、親の職業とか、相手のプライベートな情報を話の流れと関係なく矢継ぎ早に聞き出すこと自体が、手っ取り早く相手の情報を仕入れよう、あるいは探りを入れられている感じがして、不快に思います。


なんで、私があなたの興味本位を満たしてあげなければいけないんだ!


その人が、どういう価値観を持っているか、どんな経験をしてきたのか、そうした部分に目を向けるのは重要、だけど、めんどう。だから、手っ取り早く、自分の中にある概念に簡単に結び付けられる、年齢を聞いてくるんだと思います。

相手を「カテゴリー」に当てはめて理解しようとする傾向があり、それで「すべてを知ったつもり」になって、自分が作り上げたイメージから抜け出せない人を多く見てきました。

年齢を聞くことが必ずしも悪いことだとも思いません。ですが、年齢に限らずそちらがそんなのどうでもよくない?と思っていても相手が嫌がっているのにしきりに聞くのはデリカシーがないと思う。

自分の年齢を言ったうえで、あなたは?と聞かれるのは、嫌ではありません。フェアだと思います。ですが、多くの人は、「あなたは何歳なんですか?」と唐突に聞いてきて、自分の年齢は言いません。自分のことはシークレットにして、相手からのみプライベートな情報を聞き出すこと自体が失礼だと思います。


「体重は?」とか「スリーサイズは?」とか「年収は?」とか「パートナーとの親密な関係の頻度」とか、そういうものを聞いているのと、同じくらいプライベートなことなのに、年齢に関しては、無頓着になる。


そして、答えないでいるとしきりに聞いてくるのも、すごく嫌です。どんだけ、聞きたいねん。私と結婚でも考えているのかっ!?て言いたくなります。


■年齢はただの数字?


「年齢はただの数字だ」と言う人もいますが、それならなぜわざわざ人の年齢を聞くのでしょうか?

よく、「自分は、ただの数字として聞いていたり、共通の話題を探すためだけに聞いているだけだから。別に興味あるわけじゃないから」と言う人もいます。


だったら聞いてくるな。


そして、無理やり聞きだした挙げ句、「ゲッ、もうそんな歳なの!?」「結構歳いってるんだね」という発言をされると、神にでもなったつもりか?と思います。開いた口がふさがりませんね。

こんな発言は論外として、私のように学生の頃から雰囲気よりも実年齢が低かったり、自分の年代の人たちが普通に知っているであろう、芸能の話題などがからっきし分からず、「あー分からないです」と答えると結局みな話題に困ってしまいます。

年齢を聞いて、その時代背景や流行からしか話題を作れないような人でどうする?

普段からカテゴライズありきの他者理解にとどまっている時点で、年齢に頼っても無駄なんですよ。


それに、少なからず、若いことが何よりもよいとされ、偏見がはびこる社会で生きている以上、自分の価値観がどうかということだけでなく、年齢を聞かれたことで、その人が傷ついた経験があるかもしれないという想像力も必要だと思います。

聞かれるたびに嫌な思いをしてきて、あなたのターンが回ってきて、また年齢を聞かれて「またかよ」と思う気持ち、理解できませんか?


本人は責めるつもりはなく、特定の価値観を押し付けるつもりもなく、無垢な気持ちで聞いてくる「まだ子供はできないの?」という質問と同じくらいのうんざりさだと思う。


実際、仕方ないから、年齢を答えると、相手がその情報から勝手に私の人生や性格、能力について判断し始めるのが明らかに見えます。たとえば、「ああ、40代だからこうだろう」とか、「この年齢ならこういうことがあるに違いない」と、年齢というただの数字を基にして、全てを決めつけようとする態度です。

年齢を聞き出すことで、「自分が知りたい部分だけを知って、それで安心しようとしているのだな」と感じるのです。実際、年齢を答えた後の相手の表情からは、「なるほど、この人はこうだな」と決めつけモードに入っているのがはっきりと分かる。


また、年齢を聞いた後のアフターフォローとして、よく、「もっと若く見えた」と言えば相手は悪い気しないし問題ないから、と言っている人がいます。これ、バレバレですよ。

うんざりしながら、愛想で笑ってあげているんです。そんなことにも気づけないくらい感覚が鈍っている人が、こんなにたくさんいるなんて…。自分の演技に酔う前に相手の気持ちを察しろ。

偶然、その人の年齢を知る機会があり「えっ、もっと若く見えてた」という経験は、私にもあります(舞台芸術に関わる人って年齢不詳過ぎる)。ですが、唐突に年齢を聞き出して、適当に「もっと若いと思った」と言って濁して、勝手なカテゴリーに当てはめて、人を値踏みする。この人達は何がしたいのでしょうか?

それから「まあそれくらいなら、まあ」という謎の発言も、


もうさ、



何がただの数字だよ!

 

数字に囚われて、人から聞き出して、どの口が言うか!?

私は、他人の好奇心を満たすための存在ではないし、年齢だけでは語りきれない部分がたくさんあるんですけどね。


■ヨーロッパでも年齢を聞かれまくる


ちなみに、この年齢を聞きたがる現象は、ハンガリーなどのヨーロッパでも多く体験しました。

アメリカに留学経験のある友達は、アメリカでは、その人の年齢とか性別とかではなく、その人そのものを見てくれる傾向があると言っていましたが、少なくともハンガリーは違いました。

アメリカ人がどうというよりも、人は、普通にしていると相手の年齢などカテゴライズできる情報を欲しがってしまう。文化や地域に関わらず、年齢によって人を判断する習慣は根強くある。だからこそ、アメリカでは、それを法律で禁じることで、表面やカテゴリーで相手を判断できない仕組みになっているのだと思いました。


■女性の年齢に対するカオスな偏見


それから、年齢に対するイメージも意味不明です。

30代だと聞くともうおばさんだと言ってくる人もいます。以前、もうすぐ70という人におばさんと言われました。

30代がおばさんなら、40代は老婆、50代は生きた化石、60代以降なんかゾンビでしょ。

ゾンビ世代におばさんだと言われると、「棺桶に戻っておとなしくしろ。生きている人に危害を加えるな!」と言ってやりたくなります。

以前も書きましたが、女性に対するこういう偏見もあいまって「なんだこの人たちは?」と思う。30代の男性に対して、おじさんだという人は、いなくはなくても女性ほど多くはありません。

私は、落ち着いた性格で、その話し方や装いから学生の頃から実年齢よりかなり高く見られていました。しかし、今の歳になると年齢不詳と言われるようになりました。だから、余計混乱して聞きたくなるのかもしれん。

多様性の世の中、この年齢=○○という概念は、崩壊しています。それなのに、この年齢だからこうという考え方が、偏見や生きづらさを生み出していると思います。


■結論、私と結婚したい人だけ、聞いてきてください


私と結婚したいという意思があるなら年齢を聞いてきてもいいです。私には、結婚するときに相手の年齢は重要な要素であるという価値観があるので。あるいは、自分の息子や孫をぜひあなたに嫁がせたい、あるいはいい人を紹介したいというなら、年齢を聞いてください。

それ以外で年齢を聞く理由が分かりません。少なくとも、私は、嫌だと感じているのですから、聞いてこないでください。

 

次から私に年齢を聞いてきたら「私と結婚したいんですか?」と返します。



みなさんは、どう思いますか?そして、そのような質問にどう答えていますか?

 

 

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